Interview05【那須 理恵子】

まくとぅそーけーなんくるないさー精神
✳︎沖縄の方言で「正しい事していれば自然とあるべき様になる」の意。

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沖縄

家族の希望になるため、看護師になりました

高校三年生の時、進学するのか、または就職するのか、進路を決める時期がありました。

その頃の夢は、洋服の縫製をメインにしたファッションデザイナー。けれども、父親一人の収入が、きょうだい3人の家族を支える状況から、泣く泣く夢を諦めたのです。ただ、勉強が苦手だったわたしが、お金が十分なかった状況でも、家族・きょうだいには「諦めずにがんばれば、こんな将来が待ってるんだぞ!選択肢はあるぞ!」という姿を見せ希望を持ってもらいたかったのです。胸の内が、きょうだいへ伝わったかどうかはわかりません。

沖縄特有の「なんとかなるさぁ」の環境で育ったわたし。焦ってしまうと胸がドキドキする感じが苦手です。沖縄では「ちむわさわさー」といいます。愛知県の看護学校に進学し、以降11年間、看護師の先輩方から厳しく・優しくご指導いただいた経験は、まさに「ちむわさわさー」でしたが、間違いなく、現在の基盤となっています。

自分の「こだわり」を再認識して出会った『介護美容』

長年働くうちに、父の介護、子育ても同時に抱えるようになりました。子供の体調不良で欠勤が続くと、続けるのが難しい状況に追い込まれ...。とっても辛い思いをしました。どうにかそのような状況から抜け出そうと試行錯誤し、自分の「好き」について振り返ったころでした。

人の命を左右する急性期看護の現場でも、整容(※)が大好きで、密かに担当患者様へ提供していた自分を思い出したのです。三つ編みを編んだり、化粧水をつけたり、足や脇のヘアケアをするわたしを、周りは笑っていました。けれど、病院では見落とされがちで、特に女性には、嬉しいケアだと考えています。麻酔から醒めたご本人や、面会に来た家族の方には、大変喜ばれました。

わたしのこだわりは、特にお顔の見た目を整えることです。口に入れたチューブの固定は、孤軍奮闘していたものです。そんな自分を思い出したときに出会ったのが『介護美容』。まさに、自分の好きな美容を使って、ある程度の仕事時間を調整でき、さらには収入まで得られるというのです!!これだ!と飛びついてから、今に至るまではあっという間でした。

※整容:顔を拭く、髭を剃る、ブラシで髪を整えるなどの看護行為。急性期医療の現場では、優先度の低い看護行為とされることが多い。

諦めず追いかける夢は、ファッションデザイナー

今では、施設契約をいただいたり、シニアヨガ教室を開催できています。

しかし、かつてはお客様がいない日もありました。「やるっ」と決めたら、どこまでできるのだろう?という挑戦するような気持ちを抱くところは、わたしの強みです。遠回りしてでも、目標に辿り着くまでやめません。例えば、卒業後20年以上、ひたすら急性期医療に携わりました。将来的に、沖縄での離島医療に活かせると考えたためです。

ファッションデザイナーの夢は、諦めていました。
ところが!!介護美容に携わるようになり、その夢が叶いそうなチャンスに恵まれたのです。お世話になっている地域の方から、なんと「今年の夏祭りで、ファッションショーをしてみませんか?」とお誘いいただいたのです。シニアの方が出演・作成など実現すればできれば最高です。仲間を集めてぜひ、実現させたい!!さらに、地域の活性化にまで貢献できれば、いうことはありません。ここにきて、長年の夢が叶いそうで、「ちむどんどん」しています!

辛いときに思い出す、校長先生の言葉

介護美容に誇りを持って取り組めるのは、校長先生の言葉のおかげです。

「一つのことを続けろ、人の道。やがて来るらん、幸せの春」。これは、長年わたしを鼓舞し続ける言葉です。所属していた三味線クラブの担当教員が、実は校長先生だったのです。卒業の際、クラブ生に向けて、色紙をくださいました。すっかり今では黄ばんでいますが、大切に飾っています。母が怪我をして辛かったとき、家庭に収入がなかったとき、そんなとき、いつでもこの言葉が私を支えてくれました。

介護美容セラピストを応援してほしい

今の目標は、これまでの看護師と介護美容セラピストとの経験を活かし、沖縄県の健康長寿を挽回することです。美容とヨガを通して、目の前の方々を元気で笑顔にします!また、個人事業主として、今まで以上に『介護美容』に責任と誇りを持って取り組んでいきます。

介護美容は、人生の喜びや心の豊かさをもたらす、これからの社会の成長に欠かせないサービスです。

そんな介護美容に取り組む私たちを、ぜひ応援してほしい、これが今、一番伝えたいことです。沖縄での介護美容仲間が増えて、広がっていくことを望みます!!

那須 理恵子
Nasu Rieko

  • みなもと代表
  • 保有資格:看護師・呼吸療法士・ヨガインストラクター
  • 活動地域:沖縄県

  記事執筆        
刈茅志保(かるかやしほ)
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