Interview07 【五島 めぐみ】

開業して、自分に素直になれました。介護現場を支えるチームの潤滑油として、ぬくもりを届けたい

キーワード

ぬくもり、介護福祉士

人前では緊張して、顔が赤くなってしまうタイプでした

子供の頃から、緊張しやすいタイプで、人前で話すと顔がすぐ真っ赤に。丸顔であったことも関連して、「めぐみ」とリンゴを併せて「めぐりんご」とあだ名を付けられていました。そんなエピソードの他に、屋号には特別な思いもこめています。

昔から「1日1個のリンゴで医者いらず」と言われるように、私も心と体の健康を支える存在でいたいと思っています。まるでリンゴの丸みやあたたかな色合いのように、そっと寄り添い、安心感や優しさを届けたい。そして、関わるすべての方がご自分らしく過ごせるように、“笑顔の実”を結んでいけたらという願いをこめています。

ありがたいことに、今では自身を「安心できる」と評価いただくことも多く、嬉しく思っています。

高校で学び芽生えた、介護への問いかけ

養護学校が隣接していたこともあり、小学生の頃から養護学校の学生さんと交流を重ねてきました。人を支えることはごく自然なことだったので、高校へ進学する際には、迷わず介護を学ぶことに。卒業時に、介護福祉士の国家資格に合格しましたが、実習先では、忙しさのあまり、丁寧な関わりが難しい状況を目にすることもありました。そこから「介護の本質って何だろう、その方の尊厳って?」と疑問が芽生えたのです。結局、答えを見出せないまま卒業し、医療福祉の専門学校へ進学しました。卒業後は、総合病院の医療事務として勤務しました。手術室と病棟の医療事務を担当し、いい経験となりました。その後、結婚・出産を経て、5年間、デイサービスで介護福祉士としての経験を積みました。介護美容を始める前まで、デイサービスで働いていました。

施設でも自宅でも、当たり前の日常を

年を重ねたり、病気や障がいなどを含めた、あらゆる環境の変化をきっかけに「身だしなみを整えて、人に会う。おしゃれを楽しむ」という、日常の当たり前が遠のいてしまう方も多いように感じます。

デイサービスで目にしたのは、入浴後に、鏡の前で髪をとかしたり、身だしなみを気にしたり、口紅をするだけでもパッと明るくなり会話が弾む利用者様の姿です。その頃から、「整容:せいよう」(身だしなみを整えること)の大切さや美容の力を痛感しています。そこで出会ったのが、「介護美容」。もし、外部サービスとして、現場のスタッフさんや他職種の皆さんと協力関係を築き、寄り添った介護美容サービスを提供できたら?施設のスタッフ様も利用者様も、そのご家族も全ての人が喜ぶのではないだろうか?これが、始まりの思いです。だから、私は「外部」から関わる介護美容サービスにこだわります。

「心のまま、まっすぐに」

世間の意見に左右されたり、一般的な常識を基準に行動することが多かったのですが、最近は、180度方向転換しています。自分の思うまま、自分の思いを優先することにしたのです。今は「心のまま、素直に」と自分に言い聞かせています。迷った時には、「心がざわざわしない」方を選択します。そちらの方が、自分にも周りにも心地よく優しいことを学んだからです。こうして自分で事業をして4年目になりますが、これは、私自身が変わった点だと思います。

『あなたのそばに、ぬくもりんご』

ありがたいことに、お客様の中には、3年くらいのおつきあいになる方もいます。訪問するのは、月に1〜2回だけです。頻度としては低いかもしれませんが、お客様にとって、美容の日はすっかり「日常」になっているようです。これは、大変嬉しいことです。なぜなら、「離れていても、また来るよ。あなたの、ほっとする存在になります」という私の思いが伝わっていると感じるからです。私は、この思いを「ぬくもりんご」と呼び、特に大切にしています。

介護美容は、「潤滑油」です

コロナ禍でスタートした『ぬくもりんご』も、4年が経過しました(令和7年5月)。これからは、得意なことを持ち寄る仲間とチームで活動していけたらと思っています。

それと同時に、介護を担う存在として、ケアマネージャー、介護事業所などと共に、保険では賄えない部分を補っていきたいです。「施設に入るのは嫌だな」といったイメージではなく、施設は自宅生活の延長線上に過ぎない、そんな介護環境を実現したいのです。私の考える介護美容は、決して主役ではなく、​​​​​​​​​​​​​​​​ベストな介護環境を実現するための潤滑油だと思っています。これからも、外部サービスとして、他職種の方や施設スタッフの皆さんと協力して、利用者様の生活の質向上と、介護現場に寄り添うことを目指します。

十人十色の介護美容セラピストを

介護美容コミュニティDAOに所属して、様々な想いや介護美容の形があることに気が付きました。それぞれの想いや得意なことを発揮し、介護美容に活かしていく、十人十色でいいのだと思います。「心のまま、素直に」進んでいければいいのですから。一人ひとりの「得意」が集まることで、もっと豊かな介護美容の世界が広がっていき、たくさんの方を支えられることを願っています。

共に創るケアの可能性

介護美容サービスは、お客様や施設の環境に合わせて柔軟に対応できることが特長です。「外部」という立場でありながらも、他職種の皆さんとしっかり連携し、チームの一員として心を込めてケアすることを目指しています。介護施設での日々のケアに、私たちの専門性を組み合わせることで、お客様にも、施設の皆さまにも、ご家族様にもより豊かな支援ができると考えています。介護支援チームの一員として、介護美容という新しい風をぜひ体感していただけたら嬉しいです。

五島 めぐみ
Goshima Megumi

  • 介護福祉士
  • 介護美容セラピスト、福祉爪ケア専門士2級
  • コミュニティナース
  • 活動地域:愛知県

  記事執筆        
刈茅志保(かるかやしほ)
Instagramはこちら 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA