Interview10 【望月 奈津美】
望月 奈津美 Natsumi Mochizuki

お客様の言葉一つひとつを大切に。
講師からの信頼も厚い、関わりの時間を大切にするセラピスト。
きっかけとなった、ちょっとした「衝撃」
元々は、静岡県の生まれです。大学進学を機に埼玉へ移り、2025年3月まで埼玉で過ごしました。大学では臨床心理学を専攻し、卒業後、病院でソーシャルワーカー(医療機関や地域機関との調整役。入退院などで活躍する医療職種の一つ)として5年間、経験を積みました。現在は、長尾夏音さんからのお誘いを受け、大分県でRANUNの介護美容事業に携わっています。
私が就職して2-3年たった頃だったと思います。髭を生やした入院患者さんとお会いしました。私はてっきり、その方が男性だと思っていたのですが、お名前を聞いて驚きました。実は、女性だったのです。あの時のことが、衝撃的で忘れられません。ご本人様の立場でも、ご家族の立場でも、きっと嫌だろうな、と。整容に対する関心が、一気に芽生えました。
ちょうど同時期だったと思います。メイクを落とさずに寝たり、ポイントメイクも何か色がのっていればOKだと思っていたくらい、美容に対する意識が著しく低かった私… 。そんな私に「ディズニーランドに行こう!」と、親友がメイクをしてくれたことがありました。言われるがままに、メイクを綺麗に施された自分の顔を見た瞬間、まるで自分ではないような感覚になったのです。「メイクってすごいっ!」と、美容にも目覚めました。
当時は、社会人としての今後に「このままでいいのかな」と迷っていた時期。転職を念頭に「介護、美容」と検索エンジンで調べると、介護美容セラピスト協会がトップに。その場で迷わず、申し込みました。それからは、セラピスト協会の講習を受けながら、病院勤務を並行し、講習修了と同時に、退職しました。以降、デイサービスで介護職として働きつつ、介護美容セラピストとして活動しました。

「あなただから、お願いしたい」と、紹介された話
介護施設は、どこも忙しい状況です。そんな中、ある施設様に、承認欲求の表出が頻回な利用者さんがいました。スタッフさんももちろん、時間をかけて対応したいはずなのですが、なかなか手が回らず、その利用者さんは寂しかったのだと思います。元々、美容に興味が高くはなかった女性ですが、私が介入することで、笑顔が見られるようになったのです。美容を通した人との関わりが、笑顔を導いたケースだったと思います。
そもそも、私がこの方を担当することになったきっかけは、恩師からの紹介でした。「望月さんは、遮ることなく、人の話を最後まできちんと聞くことができます。この施設の近隣にセラピストは多くいますが、このお客様を担当してもらうのに、あなた以外、思い浮かびません」と薦めてくださいました。自分では驚くような評価をいただけて、私は引き受けることにしました。実は、この施設は自宅から1時間弱の移動時間を要したのですが、迷いはありませんでした。人の話を最後まできくこと、これが、私の強みでもあり、介護美容の目的でもあると考えています。単に美しさを求める美容だけではなく、その関わり自体に価値があるのです。
私を輝せる介護美容
「出会ってから今まで、介護美容のことを話しているときが、一番いきいきしているよ」と、親友は言ってくれました。そう、私に美容のきっかけとなったメイクをしてくれたあの親友です。自分自身に、なかなか自信を持てない私ですが、いきいきと話しができるということは、介護美容のことが大好きなんだろうな、と改めて自覚したのです。
埼玉から大分へ移住を決めた時も、私を心配しつつも応援してくれました。彼女は、いつでも私を応援してくれる、特別な存在です。

『人生はタイミング』
私は、いつもこう思っています。全く美容に関心がなかった私が180度変わったこと。同時に、転職に迷っていたタイミングで、介護美容と出会ったこと。最近では、大分へのお誘いのお話をいただいたこと。これも「状況を変えたい」と思い悩んでいたタイミングでした。自分に自信がない、と思う方がいれば、私もよくわかります。でも、これだけは伝えたい。「自信がなくても、足を動かせば、タイミングが訪れる」。だから、やりたいことがある人は、恐れずに行動してほしい。そんな人たちを応援したい、そう思っています。

笑顔は、連鎖する
集団レクリエーションをすることがありますが、中には「年だから今更何をやってもしょうがない、キレイになるわけでもないのに。」と参加を遠慮する方がいます。このような場合、美容は、大いに効果を発揮します。参加した方が笑顔になって、その笑顔を見たスタッフさんや、他のご利用者様が笑顔になって……。このように、笑顔は連鎖するものです。特に美容は、この効果が非常に高いと思っています。
「諦め」のない社会に向けて
高齢者の中には、引きこもってしまったり、活動意欲が低下している方などがいます。このようなとき、人々は「諦め」の思いから行動できなくなっているのではないでしょうか。元々ヒトは、人と人との関わり合いの中で生きています。社会福祉士としての経験から思うことでもありますが、「年齢を重ねたから」、「施設に入所したから」などを理由に、一人で抱え込まず、周りの方に相談してほしいのです。助けを求めることで、目の前の希望を諦めないでほしいからです。美容を通して、人と人とをつなぐ、そんな社会を実現させることが今後の大きな目標です。
直近の目標としては、RANUNのために尽力します。この数ヶ月間、長尾さんと行動を共にすることで、オンラインでは知りえなかった「長尾さんすごいな」と思うことの連続です。今後は期待に応えられるよう精進していきます。
望月 奈津美
Mochizuki Natsumi
- 社会福祉士
- レクリエーション介護士2級
- 福祉爪ケア専門士3級
- 活動地域:大分県
- RANUNのリンクはアイコンから
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記事執筆
刈茅志保(かるかやしほ)
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すごか感動しました!!モッチーのお話、全部私も叶えたいことでした!私も微力だと自信を失うことばかりですが、モッチーのように覚悟を決めて行動し続けます!その先にきっと喜んでくださる方がいますよね😆